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そろそろ日も落ちてきて、
太陽が水平線に沈んでいく。
私達2人を残したまま
静まり返った教室は、
放課後の暇を潰す場所に、
ちょうど良かった。
黒板に書いた落書きを消す
私、駒沢 未樹と
窓際の3列目にある自席で
ノートにペンを走らせる藤井真由子は
小中高と同じ学校に通い、
家もそこそこ近いところにある
いわば幼なじみ。
共感できる趣味も、
考え方も、
科目の好き嫌いも、
好きになる異性のタイプも
全然違う私達2人なのに、
オレンジ色の光が差し込む
放課後の教室で
いつもこうして暇を潰す。
めちゃくちゃ会話するわけでもなく、
全く会話がないわけでもない。
私は教室内をフラフラしてみたり、
適当に座って
ケータイをみたりしてるけど、
真由子は、いつもノ-トにペンを走らせてる
校内巡回の先生が
教室を施錠しにくる前に教室を出て、
家までの道を、
2人並んで帰る。
いつもの帰り道、
目の前に人影が見えた。
じゃれているのか、
争っているのか。
大した興味も示さず、
私達は道を変えて家に帰った。
家に着いて、
玄関を上がろうとした私の足が止まる。
…さっきのは、
なんだったのだろう。
考えがまとまる前に、
私の足は外へと向かっていた。
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