甘味には勝てなかったよ…

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「まずはこの拘束を解いていただけませんか?」 何はともあれ命に別状がなくて助かった。 一瞬でも死を覚悟した後の安心って凄いんですね。 ここが天国に見える不思議ですよ。 洗脳されたっていう事実は思い切り地獄ですがね。 「わかってるわ」 パチュリーが紐を解いてくれる。 裸で紐を巻き付けられるって結構痛そうなものだけど。 あんまり感じなかったのは感覚がなくなっているせいだと思いたくない。 「さて、と……」 服を着なおして一息つけば、咲夜さんのケーキに手を伸ばす。 「痛い!」 その手にナイフがつきたれられて我に返る。 「何をやっているの?」 「それはこっちの台詞ですが!?」 無意識ではあるものの手を伸ばした私も悪いですけども! そっちが洗脳したんだからもうちょっと止め方を考えて欲しい。 「ああ!予想以上に痛い!手の甲がヤバイ!」 二度目の痛みに悶えながら床にのたうちまわる。 この行為に意味なんてないけどこうした方が痛みが紛れる気がする。 「落ち着きなさい美鈴。また刺すわよ?」 「お、おちゅちゅきました……!」 「赤ちゃんかしら?」 痛みに耐えながら冷静に物事を発することが出来る人って稀なんですよ? 応急処置をパチュリーにやってもらってからもう一度一息つく。 「甘い物が好きなのは分かるけど少しは我慢しなさい」 「あなたのせいなんですが!?」 つい語調が強くなる。 いつもなら咲夜さんにこんな攻撃的になることなんてないのに今は非常事態だ。 「いつになく強気なのね。」 「従順な門番に戻したいのなら戻して下さい。」 この洗脳と咲夜さんの性格を。 主に後者! 呆れつつ上に上がる咲夜さん。 なんで呆れられなきゃいけないんですかねぇ。 とりあえず私も上に上がる。 いつもの紅魔館…じゃない!? 図書館から出ると凄い光景が広がっていた。
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