甘味には勝てなかったよ…

6/10
前へ
/39ページ
次へ
それはなんと言うかとにかく白かった。 トンネルを抜けたらそこは紅魔館ではなく白魔館だった。 そしてそこら中から漂う甘い香り。 あ、これ生クリームか。 思わずぺろりと舐めながら確認している。 「さすがに汚いわよ?」 咲夜さんが尚も呆れた様子で私を見ている。 先にどこか行ったんじゃなかったんですね。 お恥ずかしい。 「あ、いやあまあ洗脳のせいですし?」 「あなた今吹っ切れてない?」 バレました? 最早身体の自由を制御しようとすることも諦めましたよ、はい。 「別に良いじゃないですか。だってもうどうにもならないことですし。」 悩んだって仕方ないもんね。 だったら今出来ることで最高の生き方をするしかないじゃない? 「そういうポジティブな所は評価できるわ。」 「出来ればそういうポジティブな部分を出させないで欲しいんですが……?」 普通に前向き人間が良かったです。 妖怪ですけど…… 「全部あなたのせいでしょ?」 「そげなバカな」 思い返してみても… いや割と私のせいの部分もあるかもしれないけど。 でも今回のはまるで違うじゃないですか、やだー! それに今回が一番酷い目にあってる気がするし。 「て、そうじゃなくて」 危ない危ない。 あともうちょっとで変な事実を受け入れるところだった。 「?」 咲夜さんは頭に疑問符を浮かべているようで、まるでこの空間が普通なのかと思わせる雰囲気を漂わせる。 いやいやそんなことないですよ? 十分に異常ですから。 アブノーマルの塊ですからね? 自分の疑問解決の為にも口を開く。 しかし次の瞬間。 「あ、この生クリームについては何も聞かない方が身の為よ?」 「っ!?」 咲夜さんに釘を刺される。 なんで!? 咲夜さんなんで!? 確かに私の心は読めてるかもしれませんが、理由くらいは説明していただけると助かります。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加