甘味は最大の敵

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「嘘に決まってるでしょ?何本気になってるの?」 「嘘だったんですか!?」 あんまりにも現実味を帯びた嘘はつかないで欲しい。 「それにしても」 「はい」 「死ねぇい!!!」 「なんでっ!?」 振るわれるナイフをすんでのところで躱す。 「何でズームも何もやらずにただ撮ってるの?」 やっぱり撮影方法で怒ってらっしゃったんですね。 分かってましたけどそんなことで死ねなんて言わないでくれませんか? 「そんなこと言われてな」 「言われたことしか出来ないの?だから無能門番だとか言われるのよ?」 「はい、すみません。」 言葉だけ見ると真面目に怒られてるように見える不思議。 内容は咲夜さんのビデオ満足度なんだけど。 「これだと私が見ているのと何も変わらないでしょ?」 「はい、そうですね。」 しょんぼりしながら答える。 もう何をやっても怒られる気がしてきた。 「とにかくあなたはナイフで刺されなさい」 「それだけは勘弁していただけませんか?」 またあの痛みが襲うって考えるだけで漏れそうですはい。 「仕方ないわね。門番もサボってこっちに来て邪魔ばかりして、普通ならナイフ100本飲ますことで済ます筈だったけど。」 何それ怖い。 「特別に10本で勘弁してあげましょう」 そして告げられる無慈悲な言葉。 「1本飲んだだけでも致命傷ですよ!?」 100本から10本に減ったからなんだと言うのだ。 そういう風に言ってかなり刑が楽になったって思わそうたってそうはいかない。 むしろ1本で死ねます。 オワコンです。 「じゃあ何本ならいいの?」 「0でお願いします!」 だから1本でも致命傷なんだってばよ! 「それじゃあ0本の代わりにそこで3回回ってワンしなさい」 「ワンワン!」 「うわぁ……」 ドン引きされても…… 私だってそりゃ命と人間の尊厳を天秤にかけたらそりゃ前者ですよ。 痛いのと比べたらこんなのお安い御用ですよ!
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