夢か恋人か

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「もう少しで時間ですね…」 「そんな寂しそうな顔するなよ」 主任に言われて、私は、はっと自分の顔に両手を当てる。 「してないよ…」 「してる」 そう言って、おでこにチュッと口づけされる。 ダメだ。これ以上主任の顔を見ていたら、泣いてしまう。 私はぐっと、目の辺りに力を込めて、流れそうになる涙を阻止する。 「今日は泣かないんだ」 「泣かないよ」 「泣いてる明も可愛いけどね」 「ふふ…。ありがとう」 二人、並んで朝食を食べる。 そして、主任のネクタイを締めて、いざ出発の時。
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