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「俺さ、海外で働くの夢だったんだ」
主任はぽつり、ぽつりと語り始めた。
「大学の専攻も英語で、将来は海外で働きたいって思ってた」
「うん…」
「でも、うちの会社海外に部署はなかったから、海外で働くのは遠い将来の夢って感じだったんだ。いつか、叶えられればいいなってその程度だった」
「うん…」
主任の話を私は真剣に聞いていた。
そう言えば、いつか主任は言っていた。
海外で仕事をするのが夢だと。
「でも、その機会が今巡ってきて…。正直、チャンスだと思ってる」
「うん…」
「だけど、明のことも大切なんだ。俺と離れたら、明の気持ちまで離れちゃうんじゃないかって…。ごめん、情けないな…」
私は、落ち込んでる主任の肩を思いっきり引っぱたいた。
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