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錆びた梯子を降りて初めて二分。また鉄格子があった。そして南京錠も。南京錠のカギを刺しこみ、ダイヤルを回す。かちりと音が鳴り、鉄格子が開く。前方にはまっすぐに続く通路。鉄格子を再度閉め、その暗い通路を歩き出した。
「……おい」
「ん?」
「幾つ減った?」
「…二十」
長い沈黙の後に答えた数字。自分たちが抱えている一つの問題。これぐらいの数はまだいい方に入る。酷い時は三ケタにも上る。ここ最近になって数が減っているのだが、それでも毎日減り続けている。
「……ちっ!」
ズドンと重い音を響かせ壁を殴った。空気が震える。
「今は抑えるんだ。いつかタイミングが来る」
「あんたはこのままでいいと思ってるのか!!」
声が響く。
「こうしてる間にも俺たちの同胞が残酷な目に合ってるんだぞ!」
「…わかってる…だけど今は……」
「……くそっ!」
皮膚が破け血がにじんでいる。
「…さっさと行くぞ」
洞窟の先に一つの空間。大きな机の上に地図が広がっている。この空間にはリーダー、副リーダー、偵察兵が二人。
「状況は聞いたが、もう一度聞かせてくれ」
「はい。お互いの国から補給部隊並びに輸送部互いが送られました。ですが皆様も分かってるように魔族には大きな戦力がある。よって攻撃は不可」
「だから人側の補給部隊を叩くことしかできない。これはいつものことだな。で、今日の人数は二十だったか」
「ああ。今日は二十。総合計は…ぴったり五百ってところか…」
これらの数字はこの国から連れ去られた同胞たちのこと。つまりは奴隷。まるで作物のように毎日さらわれては、奴隷として扱われている。
「これ以上さらわれるわけにはいかない…」
「…そうだな。輸送部隊について何か捕捉はあったか?」
「ここ最近の襲撃で輸送物資が補給されてないことが知られ、防衛班もともに送り出すそうで…」
その答えを聞いた友が目をギラリとひからせた。この時の友は何かを閃いた時だ。彼は優秀な軍師でもある。
「リーダー、レジスタンスを同時に二つの部隊で行動させる」
「なぜだ?」
「防衛班を動かしたなら警備は薄くなるはずだ。そこで少しだけテロを起こす。同時に分けた班はそのまま輸送部隊を叩く」
警備が手薄になったところで襲撃。本格的な襲撃は後にして偵察を八割、奪還は運がよかったらという形で進めることとなった。
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