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矛先を兵に向け声をかける。その声に乗り複数の兵が攻めてくる。それらはすぐに行動を止めることとなった。動き出した直後には彼らの脳天に矢が突き刺さっていた。
「さすがだなシルナ。設計しただけのことはある」
「当然。何ならルマーカの分も作ろうか?」
「遠慮しておこう」
シルナが持つクロスボウと呼ばれる小型の弓から放たれた矢は的確に射抜いていた。
「あそこだな」
兵を切り捨てながら同胞のいる場所を探す。そして目についたのは壁の色に少し似た重そうな扉。
「シルナ!どうする!」
「難しいね!ここで皆殺しにしておく?」
「悪くないが、このままだと増援が増えるぞ!」
こうしている間にも増援が向かっているはずだ。脱出中に増援が来て攻められては元の子もない。できる限りここで殲滅しておかなければならない。
「わが同胞よ!何か道具は持ってるか!?」
「火薬があります!」
「そいつはいい!!」
仲間が火薬の入った袋を投げてくる。それを掴み、前方に無数にいる兵の頭上めがけて投げた。
「シルナ!!」
「わかってるよ!」
シルナの手にはクロスボウ。そして火のついたマッチ。矢の先にマッチの火をともし、袋めがけて放った。空気を切り裂いた矢は袋に直撃する。
「皆構えろ!!」
声を上げると同時に火薬が爆ぜ、轟音が響いた。爆炎が兵を包み込む。
「………ぁぁ…派手にやるね…」
シルナがこの惨劇を見て呟いた。
「俺たちはテロを起こしてるんだ。それぐらいしなくちゃな」
「……ああ、テロしながら奪還作戦だったのか」
地下に続くと思われる扉をけ破り、階段を降りる。
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