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奪還作戦に成功したその次の日、国全体で大きな宴を開くことにした。今までなかった笑顔であふれる街となった。
「私はこういう世界を望んでいた。それがようやく実現できた」
「あとは守備体勢だな。今レジスタンスが交代で防壁とかトラップとか作ってる。みんなやる気だったよ」
「なんか申し訳ないな」
「ほかの皆は別にかまわないってさ。少し楽しんで交代してってことを繰り返しているようだ」
シルナが屋台の方を指さす。そこにはレジスタンスのメンバーの一人。その近くにも何人かいた。
「さ、英雄。演説が楽しみだ」
演説とかそういったものはたいして聞いていなかった。
「おいまて、勝手に話をつくるな」
「すでにこの国全員に広がってるよ」
「くそっ」
そして演説の時間。自分たちの背後にはシルナを筆頭にレジスタンスのメンバー。
「…私は大したことは言えない。先に言わせてくれ。救出が遅くなって申し訳なかった。ずっとタイミングを探しているがゆえに遅くなった。本当に申し訳なかった」
「謝罪をしに来たわけじゃないぞ。皆が無事で本当に何よりだ。ここまで来ることができたのはここにいるルマーカと後ろにいるレジスタンスの皆だ。これからはレジスタンスが勢力を上げて皆を守ることを約束する!これ以上奴隷なんかにさせてたまるか!」
「その通りだ。さっきも言った通りここにいる全員を守りきる!」
その声に高鳴る歓声。この国の人全員叫んでいた。
「慣れないな。あれだけの前で話するのは」
「だろうな。ルマーカの苦手分野だからな」
「お前…」
額を押さえながら口を開く。
「さ、戻ろ」
「リーダー!!緊急事態発生です!!」
シルナが声を出すと同時にレジスタンスの一人が部屋に入ってきた。
「どうした!?」
「これを…」
彼が差し出してきたのは一枚の封筒。それをゆっくりとあける。
「手紙…差出は…人…だと…!」
人間からの差出だった。
「ルマーカ…」
「……ああ」
手紙を開く。そしてその文面をじっくりと読む。静かに怒りを灯し、手紙をくしゃりと握りつぶそうとする。
「……内容は…?」
「……簡潔に言う……人間が攻めてくる。あと二日後に」
ルマーカの声に沈黙するレジスタンス。
「……私たちの休み時間は終わりだ。全員、防壁ならびに罠を完成させるぞ!」
奪還戦後始末が始まった。
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