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「おい。」
声に振り向けば。
何時の間にか、そこにはその二も居並んでいた。
「どうにかするったって、どーすんだ、あれ。」
「知るか。」
そう。
解らない。
どうして良いか等。
解り様も無い。
「・・・こっち、来ますよ。」
”それ”は。
人の抵抗、逃走を嘲笑うかの様に。
その全てを蹂躙しつつ。
徐々にこちらへと、迫っている。
恐らく、何がしかの理由があって、こちらに方向を定めたのでは無いのだろうが。
「あはは。」
”先輩”は、その光景を眺め。
「あほっぽい。」
偽らざる、感想を述べた。
「止まらない・・・ですよね。」
その一が、ぽそりと呟く。
「止まらない、だろ。」
その二が、箱に残った最後の煙草に火を点けつつ、応える。
”絶望”は。
もう、すぐそこに。
「んな事ぉよぉ。」
”先輩”は。
腕をまくりつつ。
笑い混じりの声で、ブチ上げた。
「誰が決めたよ!」
「・・・」
「・・・」
その一も。
その二も。
期待した通りの、彼女の応えに。
あの日。
”サンライザー”に向かって行った時と同じ言葉に。
満足気に頷き。
”絶望”と、対峙した。
”絶望”の対義語を知ってるかい?
希望?
ははは。
馬鹿言っちゃいけない。
答えは、ね。
”狂気”だよ。
[完]
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