第二章

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「え!?何何何何!?どゆこと!?」 己の四肢に目を巡らせ、身体の各所を手で探り。 金髪は大いに狼狽する。 「そりゃ、まぁ、君は父さんの”能力”で”造られた”存在だからね。」 「あ・・・」 青年の、抑揚も感慨も、毛程すら無い言葉に金髪は虚ろな目を向ける。 「今まで保ったのは・・・まぁ、残留思念みたいな物なんだろ。よっぽど強い念、だったんだろうね。」 「・・・いや・・・」 「でも、多分、父さんが死んで・・・二、三時間かな?そろそろ限界なんじゃない?」 「いやあぁぁぁ!」 金髪は膝を崩し。 頭を抱え。 それをぶんぶんと振り乱し。 「消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!」 唾液はおろか。 涙。 汗。 鼻水。 あらゆる体液で顔をぐちゃぐちゃにしつつ。 「私は一体何なの!?変態オヤジの欲で産み出されて!それを満たす為だけに生きて!それが終われば消滅なんて!そんなの酷い!酷いよぉ!」 「・・・」 男は憐憫の情を瞳に映し。 青年は虚無そのままの目で。 少女は眼差しに疑問符を浮かべ。 三様の視線で、その金髪の恐慌を眺めていた。 と。 「あれ?どしたの?」 少女に寄り添っていた生き物の一つ、大柄な蛇が、金髪をしゅるり、と回り込み。 「・・・え?」 そして、その大口を開け。 「ちょ!?え!?何!?」 ”丁度良い獲物を見付けた”とでも言うのだろうか。 「ま、待って待って待って!き、きゃあぁぁ!」 金髪を足から呑み込んで行く。 「た、助けて!ねぇ!助けてよ!」 金髪はもがき、その掌を三人に向かって伸ばす。 が。 一同、唖然、忘我の態で、その手を取る事を考えも出来ない。 「ひいぃぃ!」 とうとう、下半身が丸々蛇の腹中に収まった。 と。 「や、やめ・・・え・・・?」 蛇の蹂躙は、そこでぴたりと止まり。 見ると、その頭部は溶けたかの様に消えて。 そう、丁度、金髪の下半身と蛇の身体が入れ替わったかのような状態。 「あ・・・」 それに至り。 金髪の身の、散り行く状況、消滅が。 止まった。 「な・・・何で?」 「ああ。」 青年がそれに気付き、口にする。 「君は、妹の造った”幻想”と融合したんだね。」
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