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「ん~ん~ん~。」
青年は、鼻歌を繰りつつ。
「あー。これは、こっちだな。」
配線を、自身の赴くままに繋ぎ。
「で、ここにこれ、と。」
部品を、組み込む。
彼にとっては独自の論理があってやっている事ではあるが、はっきり言って無根拠、つまり滅茶苦茶だ。
通常なら、そんな事でそこに横たわる”それ”が直る等と言う事は有り得ない。
が。
既にそれは”微かに動き始めている”。
「どうして・・・」
その、適当な作業の手を止めず。
「みんな、いなくなっちゃったのかなぁ。」
ぽつりと。
言葉を落とす。
妹。それに付き従っていたラミアの様な金髪。兄。
先日まで、当たり前に共に暮らしていた者達。
それが、もう、誰も居ない。
彼は、一人きり。
この家で、”それ”の修理に没頭し続けている。
「うん♪」
”家族”の代わり、と言う訳でも無いだろうが。
「うん♪うん♪」
彼の周りには。
「うん♪うん♪うん♪」
”あれ”が、増えた。
「・・・」
相も変わらず。
笑みと言える表情で。
全肯定か揶揄かを意味する声を発し。
手足を大袈裟に、踊る様に振り上げて。
「うん♪」
「うん♪うん♪」
「うん♪」
「・・・煩い。」
漏れ出たその言葉に、彼自身が少し驚く。
今迄、無視し続けていた者達に対し。
彼は始めて。
「うん♪」
「うん♪うん♪」
「うん♪」
「煩いんだよお前等っ!」
怒りを、露わにした。
その苛立ち、怒りが。
何処から来るのかも理解せぬまま。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
”あれ”の声と動きが、ぴたりと止まる。
そして。
それらは、一斉に。
彼にくるり、と向き直って。
に、と。
歯茎を剥き出し。
「あ・・・」
それは。
やはり、笑い顔だ。
ただし。
この世界の。
邪気。
悪意。
呪い。
あらゆる、負の感情を。
濃縮したが如くの、それであった。
「ああ。そうか。」
それにより。
彼は、辿り着いた。
「そうだよね。そうなんだ。」
万人に遍く通じる物では無く、彼だけの。
「やっと解かった。そうだったんだね。」
”真理”に。
「うん♪うん♪うん♪」
「うん♪うん♪うん♪」
それらは、その顔のまま。
一層狂おしく、踊り始めた。
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