恋愛奴隷Ⅰ

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「手、止まってるぞ?」 「気にしないで、少し休んでただけ。」 「てか、いま彼氏いるの?」 「いるよ。この会社に。」 「へぇ~どんなやつ?」 「言う必要なくない?」 「そいつ、羨ましい奴だな。」 「………」 とりあえず、無視した。 でも、彼は、仕事をしたまま話を続けてくる。 「そいつから奪おうかな。俺、まだ由香のこと好きだから。」 気のせいじゃなかった。 今度は、はっきり聞こえた。 「バカなこと言わないでよ。 私は、今、その人といて幸せなの。だから、邪魔しないで。 …あんたと恋人なんて、絶対無理だよ、バカ。」 「………」 「…俺、諦めねーから。」 バカ。 勝手に言ってれば。 そう思いながら、無視した。 彼との会話は、 それを最後に終わった。 それからは、二人とも、 一言も話さず、 ただ黙々とキーボードを打ち続けてた。 いま思えば、 これが、あの災難の発端だ。
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