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「手、止まってるぞ?」
「気にしないで、少し休んでただけ。」
「てか、いま彼氏いるの?」
「いるよ。この会社に。」
「へぇ~どんなやつ?」
「言う必要なくない?」
「そいつ、羨ましい奴だな。」
「………」
とりあえず、無視した。
でも、彼は、仕事をしたまま話を続けてくる。
「そいつから奪おうかな。俺、まだ由香のこと好きだから。」
気のせいじゃなかった。
今度は、はっきり聞こえた。
「バカなこと言わないでよ。
私は、今、その人といて幸せなの。だから、邪魔しないで。
…あんたと恋人なんて、絶対無理だよ、バカ。」
「………」
「…俺、諦めねーから。」
バカ。
勝手に言ってれば。
そう思いながら、無視した。
彼との会話は、
それを最後に終わった。
それからは、二人とも、
一言も話さず、
ただ黙々とキーボードを打ち続けてた。
いま思えば、
これが、あの災難の発端だ。
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