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しばらく二人で走り続けて、、
ようやく、
龍哉の気持ちが落ち着いたのか、
ただ疲れたのだけなのか、
とにかく龍哉の足は動きを止めた。
「あいつとキスしたのか?」
後ろから見てもわかるくらい、
はぁはぁと龍哉の呼吸が乱れてた。
「いきなりしてきたの…。ごめん…」
「謝るなよ。あいつが勝手にしてきたなら、由香は全然悪くないだろ。」
「それでも、ごめん…」
「いいから拭えよ。あいつの自分勝手な愛なんか。」
「あっ…」
ドタバタしてて、忘れてた。
服の袖で唇を拭う。
もっと早くこうしたかった。
ごめんって気持ちと、
自分のバカって後悔を込めて、
何度も、何度も、
拭った。
「もういい。やめろ。」
そんな言葉を聞いても、
自分では拭うのを止められなかった。
「もういいからやめろってッ!」
龍哉が、必死に拭う手を掴んで止めてくれた。
そして、
ただ優しく
抱きしめてくれた。
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