恋愛奴隷Ⅰ

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バタン…。 少し大きめの音とともに、 扉が閉まった。 閉まった扉に背中を押しつけて、 走って荒くなった呼吸を正常に戻してた。 なんか、 いきなり涙でてきた。 私、 なんで泣いてんのかな。 、、、、バカみたい。 なぜか出てくる涙を拭う。 「…開けろ。」 扉越しに龍哉の声がした。 私を心配して追ってきたんだ…。 「やだ。早く仕事行け。」 こんな顔、見られたくない。 「お前も仕事だろ?」 「今日、仕事休む。」 「じゃあ、俺も休む。」 「…バカ。」 「開けろ。」 2回目の龍哉の開けろで扉を開けた。 「泣いてたのか?」 なぜか、声が出せなくて、 黙って頷く。 「バカだなお前って。いきなり逃げるし…」 「だってさ、だってさ、、 あんなん見たら仕方ないじゃん……」 部屋の中に移動する龍哉の後をついていく私。 窓際で、外を見ながら、 なんかイライラを隠せない龍哉。 「いきなりされたんだよ。 二度とすんなって、 さっき、あいつに言った。」 「それで私が納得できると思ってんの?」 「できねーだろうな。」 「わかってるじゃない。」 「謝るよ。俺の油断だ。誰かにキスされちまった。悪い…」 龍哉を責めてるが、龍哉は悪くない。 悪いのは、全部、あの女だ。 私は龍哉のことを責められる人間じゃない。 私も、あの日、油断したから。
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