恋愛奴隷Ⅰ

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次の日、前もって仕事休んだ。 龍哉のあとを5分遅れて追いかけた。 「いい加減にしてくれないかな?龍哉は私の男だから。」 龍哉に背後から近づこうとしたあの子の服を捕まえて、 そう言った。 龍哉は、 そのことに気づかず先に行った。 「あんたが龍哉の彼女?」 「文句ある?」 「ありありですね!」 「あそこで少し話せるかしら?」 曲がり角、丁度、人目を隠してくれるブロック塀がある。 「いいですよ。」 私達は、無言の中、移動した。 移動した瞬間に、 話し始めたのはあの子だった。 「3年も好きだったんですよ私? 好きって気持ちなら負けない自信あります。 てか、好きだから負けません!」 「ほんと自分勝手な押しつけ恋愛ね。 そっか、それで満足してるわけだ。」 「違ッ…」 「違わないわよ。龍哉の気持ちは無視なわけ? 龍哉は、あなたじゃなくて私が好きなの。」 「でも!…頑張ってれば、いつか振り向いてくれます。きっと。」 「横暴ね。いい加減、そんな少女マンガみたいな幻想やめたら? 龍哉があなたに振り向くなんて絶対ないわ。だって、私達、いま相思相愛でお互いを愛しあってるから。」 的確に、かつ、あの子を言葉で追い詰めた。 別に、ひどいこと言っちゃったとは思わない。 ここまで、言わなきゃ、 きっと、この子は諦めない。 だから、これでいいと思った。 「だから、もう諦めて。」 この言葉が、 私なりの、 トドメのつもりだった。
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