恋愛奴隷Ⅰ

58/341

464人が本棚に入れています
本棚に追加
/341ページ
「話しはそれだけ。時間取らせて悪かったわね。」 さらっと、長い髪をかきあげて、 その場を去ろうと背中を向けた。 「…私、それでも諦めませんから。」 背中から聞こえた。 あの子の声、 少し、泣き声まじりだった。 「…言っとくけど、 報われない片想いってツラいわよ?」 あの子に背中を向けたままそう言った。 「ツラくても、、、 簡単に諦めちゃうぐらいなら好きになんてなってない。 だって、、、 …諦めるほうがツラいから……」 「あんた、…バカね。 まあ、あなたの人生だし、 報われなくてもいいんなら勝手にすれば? 私は、伝えたかったことは伝えたから。それじゃ。」 それが、あの子との最後の会話。 背中のほうから、 ギリッと、 まるで悔しさを噛みしめるような音が、 聞こえた気がした。 ***************
/341ページ

最初のコメントを投稿しよう!

464人が本棚に入れています
本棚に追加