464人が本棚に入れています
本棚に追加
/341ページ
「話しはそれだけ。時間取らせて悪かったわね。」
さらっと、長い髪をかきあげて、
その場を去ろうと背中を向けた。
「…私、それでも諦めませんから。」
背中から聞こえた。
あの子の声、
少し、泣き声まじりだった。
「…言っとくけど、
報われない片想いってツラいわよ?」
あの子に背中を向けたままそう言った。
「ツラくても、、、
簡単に諦めちゃうぐらいなら好きになんてなってない。
だって、、、
…諦めるほうがツラいから……」
「あんた、…バカね。
まあ、あなたの人生だし、
報われなくてもいいんなら勝手にすれば?
私は、伝えたかったことは伝えたから。それじゃ。」
それが、あの子との最後の会話。
背中のほうから、
ギリッと、
まるで悔しさを噛みしめるような音が、
聞こえた気がした。
***************
最初のコメントを投稿しよう!