恋愛奴隷Ⅰ

76/341
前へ
/341ページ
次へ
「あいつに言われたこと、 1週間、バカみたいに考えた。」 「1週間も?…バカだね。」 「俺はあいつみたいに強くねーし、 あいつに言われたように、 いざって時に由香を守れねーかもしんねー。」 「それでも、私は別にいいよ?」 「…でも、考えて続けて、ようやくわかった。 考えても、考えても強くなんかなれねーよなって。 だから俺は、 由香の傍でずっと由香を守りながら少しずつ強くなろうって思ったんだ。」 「…それでいいと思うよ。 てか、離れてバカみたいに考えて、 ようやく気がついたんだ? ほんと、バカ。 だからね、最初から離れていく意味なんてなかったんだよ?」 「だから、あそこに帰ったんだ。そしたら、由香が倒れてて…」 「龍哉が助けてくれたんだ? 弱くても、ちゃんと守ってくれたんじゃん。」 「いや、これはまぐれで偶然だ。 悪い予感がしただけだからな。 …それに、俺は何もしてねー。 ただ救急車呼んで、言われた通りに救命処置しただけだ。 そんなんで守ったうちに入らねーよ。」 「…意味わかんない。 理由はどうであれ、それのおかげで私は助かったんでしょ? 私を助けてくれたわけだし、 それが私を守ったってことでいいじゃん。」 「ダメだ。納得できねー。」 「もう!頑固!」 「…でも、今回のことで気がついたよ。」 「何?」 「…俺、由香が死ぬかもって考えたらヤバかった。 おかしくなりそうだった。」 「…私も、似たようなもんかな」 「だから、、 …俺は由香と一緒じゃなきゃ幸せになれねーと思ったよ。」 「いきなり何?」 「由香は?」 「私も、龍哉がいなきゃ幸せになれないよ?」 「じゃあ、、」 「じゃあ何?」 「もう離れねーよ。二度と。」 「結婚してくれって言うかと思ったわよバカ。」 「それは、、、また今度だな。」 「…意地悪、、。」 「とにかく!もう二度と離れねーからな!」 「うん。もう離れないで。」 「んで、いつか由香を必ず幸せにしてやる。」 ……。 「…それ、プロポーズ?」 「違ぇよバカ!…犯すぞ?」 「犯さなくていいからキスして」 龍哉の優しいキスが唇に触れた。 いつもみたいな普通のキスなのに、 なんか、 いつも以上に幸せに感じた。
/341ページ

最初のコメントを投稿しよう!

464人が本棚に入れています
本棚に追加