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「いいわよ。別に仕事やめても」
意外とすんなり、了承してくれた。
この時は、そう思った。
ペコリと小さく頭を下げて、
立ち去ろうと麗奈に背中を向けた時だった。
「…こんなことぐらいで逃げるなら、
龍哉のこと、私が奪っちゃおうかな♪」
振り向くと、
まるで勝ち誇ったかのように麗奈が不敵な笑みを浮かべてた。
「だってそうでしょ?
こんなことぐらいで逃げちゃうってことは、
大して心が強くない証拠だもん。きっと、めげずに頑張ってあんたの心を壊せば、私にも龍哉の恋人になるチャンスがあるってことだもんね♪」
「…バカ言わないで!
私の龍哉に対する気持ちは絶対に壊れないからッ!!!」
「でも、会社やめるんでしょ?
会社やめてもムダよ。前に言ったでしょ?
私、諦めないって。
必ずあなたの龍哉への気持ちを壊してあげる。
たとえ、時間がかかってもね。」
ギリッて、一瞬、
無意識に唇を噛み締めてしまったような気がした。
「…会社、やめないよ。
――…あんたに証明してやる!
私の龍哉への気持ちは絶対に壊れないって!!
あんたなんかに龍哉は絶対渡さないからッ!!」
私は、気がついたら、
そう大声で麗奈に叫んでいた。
「…わかった。会社やめないのね?」
「あんたに証明するまでやめない。…あんたなんかに、負けないから。」
「じゃあ明日も宜しくね♪」
そう一言だけ言い、
後ろを振り返って、
私に手を振って麗奈はその場を去った。
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