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会社を出た瞬間、電話が鳴った。
あっ…龍哉からだ。
龍哉のほうから電話してくるなんて珍しい。
通話ボタンを、
嬉しさと共に指先で押した。
「出るの遅ぇよ。
俺からの着信は2秒以内に出ろよバカ。」
「2秒以内とか無理でしょ?!
…バカ!」
「いま何してる?」
「いま?
ようやく仕事終わったから今から帰るところだよ。…なんで?」
「…今から俺ん家に来い。」
「は?」
「いいから来い。」
「場所、知らないんだけど…」
「そういえばそうか。教えてやるよ。…今、どこだ?」
「柳通り知ってるでしょ?
あの変な看板のコーヒー店の、、真ん前にある少し大きめの会社のとこにいるよ。」
「…なら、近いな。
迎えに行ってやってもいいが、
……自力で歩いてこい。」
「…普通、そこは迎えにくるでしょ。」
「電話で話しててやるから、
言われた通りに来い。
迷っても探してやらねー。」
「…なんか冷たいね?」
「無事、俺ん家にきたらあっためてやるよ。」
「…バカ!」
それから、龍哉と電話しながら、
龍哉の指示に従って歩き始める。
久しぶりに長電話してる。
電話越しの龍哉の声も、
好き。大好き。
だから、
龍哉の家に着くまで、
凄く凄く楽しかった。
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