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『犬山物理学研究所』
芽衣の創造主である、下川教授こと『下川壮一』が以前に勤めていたところである。
ここへ来れば、紫藤のことが分かると芽衣は思った。
研究所の応接室へ通された芽衣。
所長の谷町という男が対応している。
「下川教授の姪子さんですか……」
「はい、花村芽衣と申します」
とりあえず、そういう素性にしておく。
「これはまた、随分としっかりしたお嬢さんだ」
苦笑する谷町。まさか、こんな小学生が、一人でわざわざ訪ねてくるとは、思ってもみなかっただろう。
「叔父様とは、いろいろと交流がありまして……なんでも、こちらでは時間跳躍(タイムリープ)の研究をなさっていたそうで……」
「まぁ、キミのまえで悪口は言いたくはないが、まるでお伽噺だよ、下川教授の研究は」
「おとぎ話?」
「まともな科学者のすることじゃない……大学教授の肩書きがあるから、やってこれたってだけの話だよ、まったく……」
呆れ顔で、溜め息をつく谷町。
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