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「ゴルギアス、早く助けて!」
宮殿の中に反響したその叫びも、獄中の騎士には届くはずもなく、ただ虚しい余韻だけが残った。
◆◇◆◇◆
帝国歴二百一年、テロシア大公国では大公の死を契機に政変が起きた。
大公暗殺の主犯として挙げられたのは、宰相のピノ・ケラシム。ピノは大公の死から一週間の後に処刑されたが、一連の調査や処刑の実行を指揮したのは、実の弟であるオラシーム・ケラシムであったという。
前大公の子供が一人しかいなかったこともあり、次の大公にはオリビア姫が就任することが決まったが、戴冠式は行われなかった。ピノの残党が姫の命を狙っている可能性を考慮した、との見解をオラシームは示したが、本当の理由は明らかになっていない。
同様の理由で、オリビア大公はテロシアを離れて北方帝国にて生活する、という布告がなされた。
そして翌年の帝国歴二百二年。
北方帝国とテロシア大公国は、同盟の締結を発表した。
これは実質的な属国化に等しかった。
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