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怖くてたまらないのに、金縛りに合ったように身動きがとれないあたしは、
首を左右に振って意思表示するしか出来ない。
この先の未来に、彼が土足で入ってきて……
あたしの脳内全てを支配するだろう。
彼は眉を八の字にして困ったような表情を作る。
そしてそのままゆっくりと……右手をあたしへ持ってきた。
その瞬間、
ビクッ!
と身体中に電流が走り、咄嗟に首を背けた。
「お願い、止めて」
そう懇願するも、その手はゆっくり近づいてくる。
怖さに怯え、睫毛を伏せた時、―――彼が何かを囁いた。
………アカイツバキ………
(私の運命はあなたの手の中に)
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