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……今日は土曜日。
彼に家においでよ、と誘われた週末がやって来た。
あたしは朝ごはんを喉に通すと、パジャマのまま、母の後ろをついてまわる。
母は忙しそうに洗いモノをしながら、背後に居るあたしに声をかけてきた。
「なぁに? お小遣いのおねだり?」
「ちがっ、」
“友達の家に泊りに行きたい!”
その言葉を口に出せず、ただ心臓をバクバクさせていた。
別にどうしても彼の家に遊びに行きたいわけじゃない。
母もパートは休みだし、浩ちゃんは重要な会議があるらしく、会社に行く準備をしているし、
家で一人で過ごしても何の問題はないのだから。
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