ツキミソウ

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きちんと懺悔してくれたら許してあげようと思った気持ちが、ドコかに消えてなくなる。 「ちょっと、何とか言いなさいよっ」 と強く言って彼の腕を掴んだ瞬間、こともあろうか思いっきり振り解かれてしまう…… その足で彼は、教室から飛び出していってしまった。 「待ちなさーい!」 そう叫んだところで意味がない。 ……顔すら見えなかった。 「何なのよぉ!」 肩を落として、口から零れるため息の音を耳に通しながら あたしはカバンの中身を確認する。 さっきの彼が泥棒だったら、きっと何かを盗んでいったに違いない。 そこで真っ先に取り出したのは、キティーちゃんのピンクの長財布だった。
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