手を伸ばせば

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「伊織、何してたの。もう夕飯出来てるわよ」 階段を降りて、リビングに着くなりかーさんが少し怒り気味に話しかけてきた。 「あー…、ごめん」 莉央に電話してから、30分以上も経っていたらしい。 夕飯が出来てるのも無理もない。 かーさんは、「さっさと食べなさい」と促す。 イスに座るとねーちゃんがアイスを食べながら、じーっとこっちを見る。 「…何だよ」 ニヤニヤしてくるねーちゃん。 気持ち悪。 …てか、夕飯食べたあとにアイスなんか食べたら絶対太るだろ。 「やけに話が長かったのねえ~」 「はぁ?」 「莉央ちゃんと何、話してたのよ?」 「何もねーよ」 夕飯の焼きそばを食べながら、ねーちゃんの言葉を聞き流す。 俺の態度でねーちゃんは、更にニヤニヤしてきた。 面倒だから、俺はさっさと焼きそばを食べ終える。 「ごちそうさま」 「早食いは良くないから止めなさいよね」 かーさんが心配そうに俺を見た。 分かってる。 それくらい。 けど、これ以上心配させたくないからちゃんと頷く。 俺は、もう反抗期じゃない。 「イオ」 流しへ皿を置いたあと、またねーちゃんが俺に話しかけてきた。
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