手を伸ばせば

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「……抜けてきた。莉央と連絡つかないから……」 更に、莉央は目を丸くさせる。 「……はは、大袈裟。サボりたかっただけだよ」 笑ってるように見えるけど、目は笑って無かった。 今にも泣きそうな。 そんな表情。 「…嘘だろ」 「……え?」 俺には、なんとなく分かる。 莉央は、嘘をつくのが下手くそだから。 「…何かあっただろ」 そうじゃなきゃ、着信拒否なんかしないハズで。 こんな所にいるハズなんかも無い。 「…何もないよ?」 苦笑いを浮かべる。 ほら。 また、嘘ついた。 「……なん……にも……」 すると。 莉央は、涙を溢す。 ポロポロと綺麗に。 その姿に動揺を隠せない。 「……莉央…?」 俺は、その場に立ち尽くすしか出来なかった。 何も出来ずに傍にいるだけ。 莉央の涙の意味さえ分からない。 数年間ずっと、一緒に居るのに。 莉央の変化に気付いてあげられなかった自分に腹が立つ。 「……い…おり………?」 莉央は、俺を笑顔にしてくれたのに。 俺は………。 慰めることも出来ないのか? 気付けば、俺は莉央の涙を拭っていた。
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