手を伸ばせば

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「……バカみたい。…そんな…都合よくならないよね……」 莉央の塩味の水は。 ぽたぽたとさっきより量が多くなって落ちていく。 さっき拭ったのなんか意味が無いくらいに。 「…知ってたの……。お父さんとお母さんが電話で……ケンカしてたの……。見ないフリしてた……逃げてたんだね…、私…」 うずくまる莉央。 顔が見えなくなったけど、きっと。 もっと泣いてる。 莉央の痛みをとってあげたい。 けど。 やっぱり立ち尽くすしか出来なくて。 途方にくれてしまう。 役に立たない自分がもどかしくて嫌で嫌で仕方ない。 こんな俺だけど。 莉央の力になりたい。 うずくまっている莉央の左手を引っ張る。 そして。 優しく自分の方へ抱き寄せた。 ちょうど、首らへんに莉央の髪の毛が触れて少しくすぐったい。 それと同時に莉央の匂いがした。 「……逃げていいんだよ。………俺が………ずっと傍に居てやるから……」
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