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言葉を口にする度に、莉央を強く抱き締めた。
"守るから"の代わりに。
「………約束する」
そして。
ゆっくりと離す。
莉央は、俺を見上げながらコクリと頷いた。
そのあと。
柔らかく莉央は、目を細めた。
あれから、俺たちは学校へ向かった。
流石に怒られた。
俺に至っては、担任に「なんで一回、学校来て抜けるんだよ。バカか」と言われた。
仕方ねーだろ。
なんて思いつつ、話を右から左へ聞き流した。
莉央は、遅刻届けがどうとかで3限目から授業を受けてた。
倉科が「莉央っ!!」って言いながら抱き付いてたけど。
本当に良かった。
「伊織は優しいんだなー」
俺の肩に顎を乗せながら啓が呟いてきた。
「やめろ。気持ち悪い」
「居心地いーわ」
「肩、上げるぞ」
「やば」
ビビりな啓は、あっさりと顎を肩から離す。
まあ、やらないけど。
「莉央ちゃん。大丈夫だった?」
「……んー。全然」
そんな俺に啓は驚く。
「すげーんだな」
「え?」
指差しをしながら啓が言う。
指先には、莉央が居た。
倉科と楽しそうに笑ってた。
「もう笑ってる。伊織のおかげだな」
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