手を伸ばせば

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"好き" 確かに、俺は莉央の事は好きか嫌いかというともちろん好きな方に入る。 ただ、それは恋ではないと思ってた。 最近まで。 だけど。 莉央が他の奴と話してたりしてたら正直、違和感があった。 俺の中で濁していた。 「俺には、関係ない」って。 本当は、気になるくせに。 そんな感情を無視してた。 「そーだろ?伊織。じゃねーと、今朝の話が合わないけど」 啓は、きっと気付いてた。 ずっと前から俺の感情に。 単に俺に早く言わなかっただけだ。 啓の言う通りだった。 倉科が『莉央と電話もメールも繋がらない』って聞いた時、不安で仕方なかった。 莉央が居なくなったらどうしようって。 怖くて怖くて。 必死にもがいた。 そしたら、やっと見つけた莉央は泣いてて。 俺の知らない所で、塞ぎ込んでた。 表の明るい莉央しか見てなかった自分が、悔しくて。 なんで、もっと早く分かってあげられなかったんだろうと思った。 守れてると思ってたのに。 守れてなかった。
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