手を伸ばせば

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#レモンの炭酸 ◇◇◇ いつものように剣道部で練習をする。 数時間続けて、やっと休憩に入った。 今年で俺らは、引退だからなおさら気合いが入ってる。 あのアホな啓でさえも。 「……あっつ……」 流石に、夏に剣道着は暑すぎる。 顔を水で冷やしていると、何かが頭に当たる。 (……は?) 振り返ると誰も居ない。 そう思った矢先に、また頭に何かが当たる。 しかも、結構強めに。 すると。 クスクスと笑い声が聞こえてきた。 声の主は、すぐ分かった。 「おい、莉央!!なにしてんだよ!!」 俺がそう呼ぶと、笑いながら「バレた~」と上からひょっこり顔を覗かせる。 「何で上から覗いてんだよ。登れねえだろソコ」 普通、俺が入っている部屋を上から覗くには台か何かに乗らないといけない。 なのに何で……。 「啓ちゃんにね、手伝ってもらった!」 あのアホ。 何やってんだよ。 今朝の事、根に持ちすぎだろ。 「…てか、なにで俺を叩いてたんだよ」 「じゃーん」 莉央がヒョイと出したのは、予備用の竹刀だった。 「痛いだろ。やめろ」 「だよね!伊織、痛そうだったもん!」 思い出して、また笑い出す莉央。 ……ったく。 「あ、そうだった」 ふいに何かを思い出す莉央。
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