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「ほら、そろそろ覚悟決めぇ」
「やだ、俺は行かない。千里が代わりに行けばいいんだよ。」
そう、昼休みです。
とても行きたくない俺は千里相手に愚図っている。
「何でやねん、あんま困らせんといてくれや…」
そう言いながら頭をわしゃわしゃ撫でられる。
くそう、気持ちいいじゃないか。
されるがままになっていたら腕を引っ張られて立たされる。
そのままお弁当を持って2人で屋上へ。
あんま困らせると悪いから素直に連行されました。
扉を開けると彩木はもう来ていた。
「待ってたよ!夜君!…とお友達?」
尻尾をぶんぶん振って近づいてきたと思ったら千里を見て顔を曇らせる。
「あぁ。夜の友達の千里や。以後よろしく頼んます。」
「ご、ごめん。勝手につれてきて…」
「んーん、全然いいよ。」
・・・心なしか耳がたれた・・・気がする。
何となく気まずい雰囲気のまま屋上の日陰に移動し3人並んでの昼食。
俺は朝作ったお弁当だけど2人は売店のお弁当かな。
売店っていってもお金持ちな生徒向けなのですっごい豪華・・・
そんな2人の間で1人質素なご飯・・・
とても広げにくい。が、空腹には耐えられん。
・・・お弁当箱を開けた瞬間、両サイドからの視線。
うわぁ、食べにくい。
「・・・何?」
彩木に聞く勇気などない俺は千里に聞いてみる。
「それ、夜が作ったん?」
お弁当を見ながらいう千里にうん、と頷く。
とたんに目を輝かせ売店の豪華弁当のメインであるハンバーグを差し出される。
ん?と首を傾げると、
「僕、夜の卵焼き食べたいから交換してや。」
「・・・いやいやいや、別にあげるよ?交換じゃなくても。」
質素な卵焼きと豪華なハンバーグじゃ割に合わんだろ。
そう思って言えば不満そうな顔をする男。
「何や、僕のハンバーグが食えへんの?」
・・・どこの酔っ払いだ、まったく。
「はいはい、じゃぁ交換な。」
ん、と卵焼きを差し出すとそのまま千里が食べる。
「ん!これ美味いわぁ、僕ー、夜の卵焼き好きや。」
まぁ、少し驚いたけど餌付けの気分を味わえました。
彩木が犬なら千里は猫だな。
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