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動物に囲まれている自分を想像しているとハンバーグが差し出される。
「ほら、あーんやで、夜」
抵抗するのも面倒だしいいか。
ありがと、と言って食べる。
うわ、美味い。
肉汁が凄いんだけど、上に乗った大根おろしとポン酢がしつこくさせない!
もう有名レストランのたっかいハンバーグだよ。これ。
いいなぁ、毎日こんなの食ってるんだー。
「めっちゃ幸せそうな顔してんで?」
けらけらと笑う千里に言われる。
こんだけ顔が緩むのは仕方ない。そんだけ美味いんだもん。
幸せに浸っているとくい、と袖を引かれる。
引かれるままにそちらを向けばむ、と口を尖らせている彩木がいた。
やっべ、完全に存在忘れてた。
「あ、すいません。うるさかったですか?」
なるべく当たり障りのないよう謝った。
すると、ちがう、と首を振る。 じゃぁ何だ。
助けを求めようと千里を見ると楽しげな笑みで見られた。
・・・こいつ、人事だと思って楽しんでるな。
「僕も夜君の卵焼き・・・」
あぁ、食べたかったのか。
そういえばこいつもずっと俺の弁当覗いてたんだっけ。
「いいですよ。はい。」
お弁当のふたに乗せ差し出す。
するとどうでしょう。更に口を尖らせたではありませんか。
・・・拗ねてんのかな、これ。
首を傾げればはっ!と思いついたように顔をあげて自分の豪華弁当からからあげを一つ差し出される。
流石に千里の時の様に箸から食べるのは馴れ馴れしいかと思って弁当に隙間を開けて置いて貰うよう催促する。
・・・一向に置こうとしない。
何だ、何がやりたいんだ。
「あーんだよ!夜君!」
そういって期待したような目でん!と差し出されるからあげ。
突っ込むのも面倒だ。
そう判断した俺は有難う御座います。と言ってぱくっと食べる。
んー、これも美味い。もぐもぐと食べているとじっと見られている気配。
恐る恐るそちらを見るとやはり嬉しそうな顔をした彩木。
うわ、尻尾が見える。
・・・忘れそうになってたけど俺からかわれてるんだっけ。
なんか、こいつはそんなことしないんじゃないかと思えてくる。
俺を笑いものにしたりすんのかな、と思えてくる。
これが全部演技だったらちょっと傷つくかもしれん。
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