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「今日はローズティーだ。夜がこの前くれたので作ってみた。」
「有難う。すごくいい香りー。」
そうそう、紅茶に向いたバラが綺麗に蕾をつけたから無理言って頼んだんだよね。
ダマスクローズって言うんだけど。
紅茶には蕾を使ったほうが効能的にもいいんだって。
まぁ、紅茶のことはあんまりわかんないから全部白さんの受け売りです←
すんすんと思う存分香りを吸い込んでから一口。
「んー、んまい!」
もうね、伝えられないくらいうまいです。
やっぱり白さんは紅茶に関しては天才。
そのまま美味しい美味しい紅茶を戴きながら談笑する。
これも毎朝の日課だ。
ふと時計を見るとそろそろクラスの人が来る時間だ。
白さんとまた明日、と別れて教室に。
…よし、誰も来てないみたいだ。
いそいそと窓際にある自分の席に着き机から本を取り出す。
開いて本の世界に入り込むと時間がたつのは早いもので…
顔を上げた時にはもう教室は大体の人がそろっていた。
時計を見れば朝のショートタイム(ST)が始まるまでまだ時間はある。
再び本の世界へ戻ろうとした瞬間、ざわめいていた教室がぴたっと時が止まったように静かになった。
皆同じ方向を見て固まっている。
何事かと釣られるようにそちらへ顔を向ける。
くっそ…見なければ良かった…
後悔しても後の祭り…
そう、彩木春だ。奴がこの教室のドア付近できょろきょろしている。
「っ…。」
やばい、目が合ってしまっ…いや!合ってない!
俺は何も見ていない!
すげぇ笑顔だったけどそんなの見てない!
…現実逃避はこんなもんか。さっと本に目を戻しながら改めて現実を見る。
奴は何をしに来た?
あれか、何断ってんだよ、地味男ー
空気読めよなーとかいってボコるのか?このいたいけな地味男を。
顔には出してないが発狂しそうなほどにパニクっている。
パニクっている。(二回目)
すると、見つけたー!と言う声とどたばた走る音。
「ねぇ!なんで無視なのー!目合ったよねー?」
俺に話しかけていると思っただろ?
違うんだな、これg「夜君!君だって!」
くそ、名前を呼ばれては無視できん。
渋々見上げるときらきらと目を輝かせるわんこ。
違った。彩木春だ。
いや、でもわんこの耳と尻尾が見える。眼鏡を変えんといかんな、これは。
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