第2章 ストーカー退治

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 誕生日まであと八日。  洋子は落ち込んでいた。  出てくるのは溜息ばかりだ。  残るミサンガはあと五本。  期待した握手会だったが思ったより実りがなく、落とせたミサンガはたったの二本。  これでは意気があがるはずもない。  彼女が抱えた問題はそれだけではなかった。  昨夜は夕方六時から京都太秦の撮影所にスタジオ入りして、今日の昼二時まで、ほぼ休憩なしで、徹夜覚悟の撮影をがんばったのだが、オタクを脅したのがバレて、しょっぱなから散々だったのだ。  洋子のアンチが、《洋子、ご乱心! 二日酔いで処分だああ!》という題のサイトを立ち上げたのを皮切りに、《雨後のたけのこ》のようにアンチのサイトが増え続けていた。  《まだ未成年で飲酒! マンドリルが何様だwwww》とか《悲報! 洋子が酒を飲んでサイン会! ヲタおおおお!!》など、面白半分で、《処分》を要求する書き込みが続き、もうパロディ画像まで流れていた。
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