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一升瓶を片手にした洋子が、八代の胸ぐらをつかんでいるのだ。
少数ながら洋子をかばう意見もあったが、これはアイドルを潰したいだけの野次馬に黙殺された。
かれらは真実が知りたいのではない。無抵抗な芸能人をいじめて遊びたいのだ。
また時期も悪かった、八代が京都に来ていた――《深川小町捕物控》は視聴率が思いのほか高いので、水面下ではセカンドシーズンの企画が進行中だったからだ。
洋子を出演させる条件として、バーターとしてほかのメンバーの特別出演と新レギュラーの座を抱き合わせでねじ込み、今度も主題曲をランブル・コメットが担当する。
そういった条件で交渉中なのだが、これでは全てぶち壊しだ。
主演女優の不祥事で番組が打ち切りではシャレにならない。
この業界は狭い、プロの間で役に立たないと噂が流れれば、ドラマ業界から締め出される恐れだってある。
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