2. 人類の残骸と黒髪の少女

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  一週間前、オワリ村沿岸沖にタイプ【オクト】レベル4が出現した。 『レベル』というのは出現した敵性『マガ』の脅威度を示す指標で、レベル0から4までの五段階が設定されている。 つまりレベル4が出現するっていうのは、俺たちオワリ村海浜警備隊にとって最悪の事態と言っていい。 古参に片足を突っ込んだ俺ですら、レベル4との交戦経験は過去一度だけだった。 その時に同期のほとんどが戦死してしまったわけだが(我ながら本当によく生き残ったと思う)、 今回もあのタコの化け物に半分以上の小隊が壊滅的打撃を受け、ベテラン揃いの精鋭だったうちの小隊にすら犠牲者が出た。 で、その欠員補充として配属されたのが、 「三嶋咢人(みしま アギト)……? 聞かない名前ですね。どこの小隊からの転属ですか?」 「いやそれが、転属じゃなくてな。新兵だそうだ」 「は?」 はっきり言って耳を疑った。火をつけようと咥えたタバコを危うく落としそうになるくらい。  
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