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ただ問題は、風化した廃墟に無理やり住居環境を詰め込んだような景観になってしまうことか。
大通りにはDMエンジンを積んだ車両が光の束を振り撒きながら走行しているが、
その不釣り合いな輝きは俺たちみたいな存在の歪さを象徴しているようでもある。
西の外れに小学校、北の海岸通りに中学校、そこから少し南へ上ったところに、『岬守(さきもり)』58機を擁する迎撃本部。
この村にある公的機関はその三つでお終いだ。
それ以外のものは存在しないし、存在する必要が無いくらいに村の状況、ひいては人類の置かれた状況は極めて逼迫している。
それに、そもそも俺たちのような存在を指して『人類』と呼んでいいのかも疑わしい。
不意に潮風が吹きつけた。マモリ少佐の長い黒髪と点火したばかりの紫煙とが、見惚れるほどのコントラストを成してゆるやかに揺れ動く。
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