2. 人類の残骸と黒髪の少女

12/14

34人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
  俺たちは十数世紀前に起こった『大絶滅』を免れた代償として、生殖機能に大きな障害を抱えている。 「あぁ、三系交配の法則ですか。懐かしいですね。中学の保健体育でやりましたが……」 まず遺伝子、それもゲノムとしてのバリエーションが三種類しかなくなった。 木俣(きのまた)、祓戸(はらえど)、三嶋(みしま)をまとめて『三系』と呼ぶが、子供を作れる組み合わせは限られている。 例えば……、あー、どれだったかな。 「……すみせん、忘れました。そういうのは恋バナが好きなモカのやつ、……モカ中尉にでも聞いて下さい」 「ふむ。では、そうしよう」 ともあれ、仮に子供を作れる組み合わせで結ばれたとしても、実際に子供ができる事は非常に稀なのだ。 どれくらい稀かというと、 「私もいい加減、黒髪の同胞が欲しいからな……」 村全体で数十年に一人とか、そういうレベルで。 「早く生まれてくれるといいですね」  
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加