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俺たちは十数世紀前に起こった『大絶滅』を免れた代償として、生殖機能に大きな障害を抱えている。
「あぁ、三系交配の法則ですか。懐かしいですね。中学の保健体育でやりましたが……」
まず遺伝子、それもゲノムとしてのバリエーションが三種類しかなくなった。
木俣(きのまた)、祓戸(はらえど)、三嶋(みしま)をまとめて『三系』と呼ぶが、子供を作れる組み合わせは限られている。
例えば……、あー、どれだったかな。
「……すみせん、忘れました。そういうのは恋バナが好きなモカのやつ、……モカ中尉にでも聞いて下さい」
「ふむ。では、そうしよう」
ともあれ、仮に子供を作れる組み合わせで結ばれたとしても、実際に子供ができる事は非常に稀なのだ。
どれくらい稀かというと、
「私もいい加減、黒髪の同胞が欲しいからな……」
村全体で数十年に一人とか、そういうレベルで。
「早く生まれてくれるといいですね」
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