3. 春は泡沫、やぶれてなお青く

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  DM力場の密度増加に伴って捕り網が収縮する。 ガチン、ガチン。 外装にシールドビットが張り付く振動と共に、徐々に機体の自由が奪われて行く。 「んごおおおおおおぉぉおおぉ!!」 アギトも必死になってDMDの出力を上げるが、結局、 「んがああぁっ!!」 ガッシャァン!! と、地面に落下してしまうのだった。 教官の監視を振り切って、授業時間いっぱい大空と大海の狭間を飛行するという野望は今日も呆気なく絶たれた。 あのマモリ小隊の防壁手をつとめるだけあって、岬守搭乗訓練一年の部の教官、祓戸茂華(はらえど モカ)の実力は並はずれていた。 というか、仮にも岬守一機分の出力を全て推進力に使っているのに、それをシールドビットだけで止めるどころか地面にまで引き摺り下ろすなんて、 (いったいどんな出力してんだ、あの教官……) 『まったく、懲りないわねぇ、アンタも……』 「……るっせ」  
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