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『アンタはいずれ小隊長とかマモリ小隊の一員として海浜警備隊を引っ張って行かなきゃならないの。アンタの戦果で警備隊全体の生存率、ひいては人類全体の存亡が左右されるのよ? その辺自覚して……』
「あんま固っ苦しい事ばっか言ってっと小じわ増えんぞババァ」
『な、何ですって!? あっ、こら待ちなさいアギトっ……!』
ブツン、と回線を強制終了した。
顔を上げると、クラスメイトの岬守を三つくらい隔てて、さっきまで画面に映っていた顔がアギトを睨んでいた。
べぇと舌を出して目を逸らす。
いつもの事だ。
ため息と共に空を見上げる。
何でアイツは、あんな風に割り切る事ができるんだろう。
誰よりも自由に飛べる才能を持っているのに。
飛び立つなら今しかないのだ。
人生を賭けるチャンスは一度しかない。
警備隊の生存率とか人類の存亡とか、そんなしがらみの中で藻掻いていたら、あっという間にすり減ってしまう。
たぶん、気付いたらもう終わっているのだ。
それくらいは想像できる。
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