1. この星の生命を喰らうモノ

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  『各機、機体状況を報告』 「GY-22木俣弦祇(きのまた ツルギ)、オールグリーン」 小隊長の呼びかけに半ば反射的に応える。小窓には、俺が所属する小隊の面々が映し出されていた。 小隊長は真ん中の女性、というよりはまだ少女の面影が残っている印象で、現代では限りなく稀有な天然の黒髪を後ろでポニーテールにしている。 歳は俺より二つ下だが実力が桁はずれで、既に階級は三つも上だ。 『……SK-3三嶋咢人(みしま アギト)、応答無いが大丈夫か』 『う、うっす。オールグリーン……』 右の小窓では青い髪を逆立てた少年が、何度も確かめるようにコックピット内へ視線を散らしていた。声音もすこし、震えているようだ。 無理もない。彼は一昨日からうちの小隊に配属になった新米で、俺なんか顔を合わせるのも初めてだ。 これが初陣だと聞いているから、歳は多分13か14、中学一年次の授業で基礎的な岬守搭乗訓練を終えたばかりだろう。  
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