1. この星の生命を喰らうモノ

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  『岬守(さきもり)』に乗るようになってから、もう六年が経った。 中学時代、『岬守搭乗訓練』の成績が年じゅう赤点ぎりぎりだった俺にしては、まぁよく生き残った方だと思う。 何と言っても来月で俺は二十歳の誕生日を迎えて、晴れて平均寿命を全うした事になるのだ。 思い返せば長かったような、短かったような。 初陣の時なんか、ビビるあまり操作を誤って発進直後に横転してドックにとんぼ返りしたものだ。 それに比べたら、アギト少年なんか立派なものだ。 再び軽快な電子音が響いて、コックピットに小窓が浮かんだ。 誰かと思って目をやると、そこには目が痛くなるほど明るいピンク色が映っていた。 「……?」 それは、彼女の頭髪だった。何やらコックピットに屈みこんで、足元の辺りをごそごそやっている。 不意に、ぴょん、と跳びはねるように上体を起こしたと思ったら、 『ツルギくーん! 誕生日おめでとーーーー!!!!』  
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