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それでもなんだか信じられなくて、夢の中にいるみたいにぼんやりした頭で、
相変わらず無表情なツルギくんの顔を眺めてしまいました。
「……飯、行くぞ」
ぷいっと背中を向けたツルギくんが、さっさと歩いて行ってしまいます。
わたしもあわてて追いかけて、ちょっと迷ったのですけれども、
「えいっ」
と、ツルギくんと腕を組んでみました。
年甲斐もなくくっつくなバカとか言われるのも覚悟していたのですけれども、
予想に反してツルギくんは無言で、そうやって何にも言わないままずっと二人で歩くのですけれども、
不思議と不安はありませんでした。
「あ、そう言えば、よいのですか? 岬守の起動実験は」
「ん? いや、……今日はもう無理だろ」
「むむ? どうしてです、『彼ら』は海に還って行きましたよ?」
「そうじゃねーよ。こんなんで起動実験したらお前」
ツルギくんは大きなため息を吐いて、空いている方の手で緑色の髪をぐしゃぐしゃにしてしまうのでした。
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