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そして途中から、素材が石に変わってしまう。
潮風と風雨に削り取られて、もとは四角かったであろう石版が楕円形にまで形を変えている。
おそらくこの頃から徐々に敵性マガも強力になって行き、人口の減少に伴って技術水準が後退を始めたのだ。
もう少し時間を進めると、刻まれていたであろう文字が僅かな凹みとして認識できるようになってくる。
さらに二十枚分ほど時代を辿ると、ようやく文字が読み取れるようになる。
この頃になるともう、人々の生活も現代とそう変わらないだろう。
ごく稀に刻まれている『三系』以外の苗字は、旧人類と同じ寿命を持って生まれた黒髪の個体に違いない。
十数世紀の長きにわたり、この村に生きた人々が織りなす壮大な追憶の回廊。
彼らがいったい何を考え、どう笑い、どんな思いで戦ったのか。
その記憶はもうこの世界から消え去ってしまったが、
彼らが守ったオワリ村は今も、まだこの場所にあり続けている。
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