6. 魂の依代を守る者

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  最後の石碑の前で、誰かが項垂れていた。 頭部をはじめ身体のあちこちに白い包帯が巻かれ、松葉杖をつく彼の右足は膝の辺りから先が無くなっていた。 まだ体ができあがっていないのだろう、後ろ姿にもどこかあどけない印象が残っている。 つんつんと逆立った三嶋系の青い髪には、見覚えがあった。 「来ていたのか、アギト新兵」 玉依守里(たまより マモリ)少佐が、その背中に声を掛けた。 声音こそいつも通りだったが、彼女の右手は彼への気遣いを隠すように、くるくるとポニーテールを弄っている。 アギト新兵と呼ばれた少年はしかし、上官の呼びかけにも応える素振りを見せなかった。 マモリ少佐は苦笑を浮かべて彼の隣に並ぶと、手に持った花束を石碑の前に放った。 「生き残ってしまったな」 アギト新兵は応えない。 「生き残る事しかできなかった……」  
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