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なにを言っても
通用しない気がして
じっと耐えていると、
蛍太はご満悦な様子で
抽挿を続ける。
夢中になりかけた
蛍太の指先が、
あたしの頭の横で
すかっと空ぶった。
その動作で、
彼がいつも髪の長い女性を
相手にしてるんだってことが
判って、
なぜだか胸がちくりと痛む。
蛍太もそれに
気付いたのか、
いくらか理性の戻った目で
あたしをじっと見下ろした。
スチールグレーの瞳が、
戸惑ったように揺れる。
──なんで、
こんなことに
なったんだろう。
あたしと蛍太は
ただの昔なじみで──
ただのマネージャーと
アーティスト、
なのに。
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