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棒ノックが始まったが、4名の1年生の守備はとてつもなくお粗末なものであった。グラウンドが週に1回しか使えず、4名全員が中学まで野球未経験者であった。
次々と1年がボールを後逸していく姿に木場は唖然とする。
「じゃあ、次は木場君!行くよ!」
豆山がノックを打つと木場は華麗なグラブ捌き(さばき)を見せる。
「す…すげぇ」
周りの1年生達と豆山は木場のプロ野球選手のようなプレーに魅了される。
一方、球誠が所属する古池シニアでは平日にも関わらず、又川シニアとの練習試合が行われていた。
マウンドに立つ球誠。ノーアウト 1、2塁とピンチな状況に追い込まれていた。
相手のバッターは4番の選手。球誠はキャッチャーのサインに頷き、ボールを投げる。
カキーン!
金属音と共にボールは外野の間を抜けていく。球誠はホームのカバーに入るが2人の走者が帰り、7点という文字がスコアに記入される。
「城崎!交代だ!」
監督から交代を告げられ、球誠は肩を落としてベンチへと下がる。リトル時代に活躍した姿は完全に影を潜めていた。球誠はスランプに陥ってしまったのである。
夕方になり、練習を終えた豆山と木場は一緒に帰宅する。
「今日はありがとう、木場君!あの後、1年生達に色々指導してくれて」
「いや、いいんだ。楽しかったよ!」
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