不思議な物体

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『ボクはね、クロちゃん』 そう言いながら、ベッドで眠るわたしの目の高さの少し上でホバリングするように 上下に微かに揺れているのが見える やっとの思いで目をこじ開け、その姿を 確認する それは 例えるなら、まっくろくろすけに ネコミミを着けたような… 「誰?」 その物体は、微かに微笑んでいるようにも 哀しんでいるようにもみえる表情で 『だからー、クロちゃんだってば』 これは夢だと解ってはいても そんなモノにかまっていられる程 わたしの心に余裕はなかった 再び眠りに落ちようとするわたしの耳元で 『会いたいんでしょ?チッチに』 え? チッチ、という言葉にわたしの頭は完全に覚醒した
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