『人が消える』

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三子町(ミツゴマチ)。 それが私達が住んでいる町の名前だ。人口2万人ほどの極々普通の町である。 三子町は交易により栄えた町で、その名残か今でも多くの市場が立ち並んでいる。 人々は酒と肉がなにより好きで、毎晩町の中心部にはネオンの光が煌めいている。 そんな私達の町に今、ある噂が流れている。 『人が消える』 文字通り人が町で消える事件が起こっているのだ。そう、連続失踪事件である。 事件の始まりは、今年の春。 私、平井 美雪(ヒライ ミユキ)が高校二年にちょうど進級した時期だ。 進級したクラスでクラスメイトが一人、失踪したのだ。 失踪したのは女子生徒で、学校ではおとなしめな生徒だった。 先生からそれを聞かされた私達は、当初夜逃げだ、駆け落ちだ等と根も葉もない噂をし、私達の話題の中心を占めていた。 しかし、噂というものは所詮一時的な物で、1ヶ月もすれば校内一のイケメンと校内一の美少女カップルの破局したことが噂の中心となっていた。 失踪事件を忘れかけていたその頃、また失踪事件が起きた。 今度は三人。不幸中の幸いか、うちのクラスでは失踪者が一人もでなかかったのだが緊急自体ということで学校では集会が開かれ、下校時には集団で帰るようにと取り決められた。 しかし未だ、失踪者は何の目撃情報も無く、見つからない。 そしてこれは、この町を揺るがす事件の始まりにすぎなかった。 この町では、『人が消える』
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